先週の日曜日のこと。

きょうは日曜日だ。当たり前だか。図書館で本を読んでいたら隣席に座ってきた推定年齢22才の女子がやたらに物音を立てて煩い。容姿はいいのだがいまさらそんなのに心を捕らわれる僕ではない。集中力が途切れてきたその時、僕の心に囁く呟きがあった…

その囁きはある美術館にいってごらんなさいというものだった。地下鉄でその最寄りの駅に降り立った。ここは懐かしい場所だ。12年前に勤めていた職場のすぐ近くだった。当時あったジムや書店はなくなっていたが、駅から東に歩くとそこは雰囲気のいい静寂な雰囲気の高級住宅街だ。

この都市にこういう雰囲気の街並みは二三ヶ所ほどある。美術館のまえに到着する。わりと小さい雰囲気の品のいい建物である。妙齢(推定年齢70才だが気品があった)のご婦人がふたり前を歩いていて先にはいっていく。タッチ式自動ドアだ。タッチすると驚いた。いや扉が叫んだのではない(笑)。

扉は横に開いたのでも叫んだのでもなく、向こう側つまり奥に開いたのだ。はいると小さな庭になっていて左にまた自動ドアがあってまた奥に開くかと身構えていたら今度は横に開いた。拍子抜けしてしまった。受付のお嬢さんから入場券を購入する。思い出した。ここは20年前に来たのだ。

近くに勤めていたときはなかなか来れなかった。20年前に来たときはまだ新設の美術館だった。受付には財団オーナーの親族の方がいたように思う。展示室は一階と二階にある。まず一階から観る。先程の婦人方が二枚目の絵のまえで立ち止まっている。こちらをみて微笑んでくる。

その絵は堂本印象さんの寧楽だった。なかなか趣がある。田渕俊夫さんの鳳凰堂も味がある。僕がいいと思ったのは後藤純男さんの秋色塔映だ。どんな風にいいかって?それは内緒。そうそう上村松園さんの月下踊りの図がありました。2階にいくと…その前にここの階段は絨毯が…脚に優しい…

2階の展示室の横にハイビジョンの映像室があり、解説ビデオ番組か数種類ある。これも昔から変わらない。展示室にはいると右側に富士の描き勢揃い。横山大観さんの霊峰富士から。様々な姿の富士だ。竹内栖鳳さんの富獄。そしてスケールな大きいのが横山大観さんの三保の富士・松原だ。


そしてこの古川美術館の本館を出て、ほんの数分歩くと為三郎記念館。ここでゆっくりお茶をいただけたら素敵なひとときが過ごせそうな数寄屋風の建物だ。先程の妙齢のご婦人方とすれ違ったので、ようございましたとひとことふたこと交わす。
http://www.furukawa-museum.or.jp/